「坂まつり」実行委員会 磯谷真理子
第3回「坂まつり」を、11月29日(日)午後に新宿区落合地区で開催しました。今年のテーマは「林芙美子と落合の坂」。第一部は落合第二地域センターにおいて講演会。第二部は、林芙美子も歩いたであろう、かつて落合文士村と呼ばれた地域に点在する坂を巡るという企画です。坂学会設立10周年の記念に会員の総力を挙げたイベントを目指しました。
チラシは会員の作です。当初は当会ホームページ掲載や口コミ用でしたが、会場や林芙美子記念館などの公共機関にポスターとしても掲示していただけ、応募につながったのは大きな収穫でした。また、新宿フィールドミュージアムのガイドブック、ホームページ、イベントでも紹介していただきました。募集開始よりわずか1か月で定員に達し、5歳から70歳台まで、会員を含め61名の方が参加してくださいました。
新宿区に共催いただくのは、昨年に続き2回目となります。新宿フィールドミュージアム協議会、新宿歴史博物館、林芙美子記念館、落合第二地域センターのご協力のおかげで、また当日は好天に恵まれ、参加者皆様に喜んでいただけるイベントとなりました。
第1部は12:45から14:15まで、落合第二地域センター3階の大ホールにて、講演を行いました。
開会のあいさつに続き、坂学会原征男会長の「林芙美子と落合の坂」をテーマした講演では、東京・新宿区・落合地区の坂の形成について地形・歴史・文化等の多角度から触れ、落合地区に点在する坂の坂名由来や特徴についての説明がありました。東京全体から落合地区へフォーカスを絞っていく説明はとても説得力がありました。会員には坂の勉強となり、一般参加者の方も坂への興味が湧いたのではないでしょうか。第2部のフィールドワークには含まれない坂も、写真と詳しい解説で、臨場感を味わうことができました。
(坂学会原征男会長の講演に耳を傾ける参加者と会場の様子)
続いて、松本崇男会員が「フィールドワーク 新宿区中井周辺の坂」と題して、第2部で実際に歩くルートと坂名の由来や特徴について説明しました。現場ではできない詳しい説明を事前に行い、参加者の理解を深めるとともに満足度を高めていただこうという新たな試みです。坂の地点や坂名由来の出典などを一から調べ直してくださり、とても整理された内容でした。ルートの詳細は、第2部のところを参照してください。
第1部の最後に実行委員からフィールドワークの注意事項についての説明を行いました。今回のフィールドワークは一般参加者および会員が全員参加するという計画です。60名近くの参加者が事故無く、時間内に終了できるようにするため、4グループに分け時間差で出発するという方法を取りました。これも初めての試みです。グループ分けが説明され、第1部は終了となりました。
会場の落合第二地域センター多目的ホールは、設備が充実しており、ライティングや音響でレベルが高かったという印象です。センターのスタッフの方々も協力的で、講演会および展示準備をスムースに行うことができました。今回は講演とフィールドワークの準備に注力するため、会場展示物は「新宿区の坂パネル」のみとしましたが、講演開始前にじっくり鑑賞してくださる方がいたことが印象的でした。
(午前中に会場の展示物を準備する会員の皆さん)
第2部のフィールドワークは、休憩をはさんで、14:30にスタートです。4グループが2分おきに出発しました。グループ混在が心配されたため、グループごとに色分けしたナンバープレートを首から下げていただきました。一目でわかると、ガイドやサポーター役にも好評でした。
ルートは松本会員が今回のテーマに合わせ、時間・距離・歩きやすさに配慮して計画してくれたものです。かつての落合文士村の様子や坂の特徴となる地形もわかる絶妙な構成です。また、各グループにガイドと複数のサポーターを設定するため、松本会員のもと十数名の会員が事前にルートの下見と勉強をしました。
行程:約4km 1時間30分(うち林芙美子記念館見学30分)
落合第二地域センター→中井出世不動尊→四の坂→林芙美子記念館(入館)男坂・女坂→五の坂→林芙美子住居跡(現コープみらい)→六の坂→七の坂→八の坂→中井御霊神社→ごりょう坂→バッケ坂→坂上通り→五の坂→三の坂→二の坂→一の坂→山手坂→振り子坂→六天坂→(見晴坂)→西武新宿線中井駅/都営大江戸線・中井駅
今回は、テーマ「林芙美子と落合の坂」に因み、林芙美子記念館見学をフィールドワークである坂歩きの途中に組み入れました。新宿歴史博物館の学芸員さんと記念館のボランティアガイドさんが、第1部から参加くださり、第2部の坂歩きで林芙美子記念館を案内してくださいました。専門的な説明に加え、記念館の中にある「男坂・女坂」や玄関前の坂を順路に入れていただけたおかげで参加者の満足度を高めることができました。
(林芙美子記念館で専門家の説明を聞いている様子)
(林芙美子記念館内の男坂・女坂)
(バッケの坂を上がる様子)
坂標の説明を読んだり、坂上からの景色に見とれたり、写真撮影…と坂の魅力にひかれ、予定時間を少しオーバーしたものの、この日の日没には間に合って西武新宿線中井駅で解散となりました。事故やケガもなく無事に終わることができたのは、各グループのガイドとサポーター役、そして参加者の皆さんの心掛けのおかげです。
一般参加の方々からは、「落合地区に坂が多いことを知って驚いた」「坂に特化した街歩きは珍しいので興味を持った」「記念館での説明が専門的で役にたった」などの感想が寄せられました。
解散後、坂学会10周年記念&打上げ懇親会を高田馬場で開催しました。一体感があったと皆さんが言ってくださり、実行委員会のメンバーも達成感を感じることができました。準備を始めてからの半年間…企画会議、チラシ作り、写真・地図提供、資料作成、勉強会、下見見学会等々…開催準備に関わったり、参加してくださったり、忙しいなかご協力くださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。皆さん本当にありがとうございました。
以上
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