中京の坂だより・9    梅森坂

(梅森坂の表示がある信号機、坂下)
(梅森坂の表示がある信号機、坂下)
(坂下から見る梅森坂
(坂下から見る梅森坂、右側に牧野ケ池
正面は牧野ケ池緑地、その奥がゴルフ場)

 今回取り上げる「梅森坂」は名古屋市の東部・名東区の日進市に接する地域にある。 地下鉄東山線の星ヶ丘または本郷から地下鉄鶴舞線の平針方面に抜ける道で、 昭和14年頃にバスが通れる道に改修されたと言う。

 坂道の西側は牧野ケ池緑地で東側はまさに新しい住宅地、 坂上には結核療養所に端を発する旧国立東名古屋病院がある。
 本郷方面から南下してくると「極楽」なる地名がある。 これは長久手の戦で敗れた兵士たちがこの辺りで手厚く介護を受けたからだという。 逆の方向に逃げた兵士たちは酷い扱いを受けたらしいが、地名に「地獄」というのはない。

 さて、その極楽を過ぎると星ヶ丘からくる道路と合流し、そこが「梅森坂」の交差点である (バス停は梅森坂口)。梅森坂はここからゆっくりとのぼる緩やかな坂道で途中で左に曲がる。 坂名は梅の木の森が坂上の天神社にあったためと言われ、梅林坂とも呼ばれていたという。

 坂を上り始めると右手に灌漑用につくられた大きな牧野ケ池があるが、人家も少なく 坂下方面の先に田畑が広がっていたからここに溜池がつくられたのであろうが、 今や名古屋の住宅地としてその面影はない。
 現在の池は市民の憩いの場で、坂道沿いに牧野ケ池緑地が拡がっている。 緑地には名残りの桜が美しく、朝から子供連れの人たちもいた。この緑地の中には愛知カンツリー 東山コースと言われる名門ゴルフ場がある。 都心から30分以内でこんなゴルフ場がある名古屋市民はうらやましいが、 門戸が広く開かれている訳ではない。

(曲線部から坂上部を見る。
次の信号ががバス停では梅森坂、右折でゴルフ場)

 この辺りの町名には「梅森坂、梅森坂西、梅が丘」(名東区)、「梅森台、梅森町」(日進市)と 「梅」のオンパレードで、学校・幼稚園・県営住宅などに「梅森坂」の名を冠した施設も数多い。
 梅森坂のある通りはゆるい坂道をくりかえして続いており、 住宅地としては住みやすそうであるが、地下鉄には南北いずれもバス利用が不可欠で、 この通りもクルマの通行量が非常に多い。



 今回で現在までにわかっている名古屋市内の坂道の案内を終える。
 市内に坂道は多いが名前のついている坂道は少ない。今後も探索を続けたい。

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